第六章 公子計賺楚辺城 専諸夜奪魚腸剣
呉王僚九年、呉、楚両国の国境堺で、争いがあった。
最初は婦人たちが養蚕用の桑葉を奪い取るため民間人の争いがあって、楚は兵士を出して、呉の小さい村、胛梁邑を攻め取った。
刺繍で有名な呉国は桑の木を国の大切な資源として大切にしている。隣国と争いがあってもしばしばのことだけど、今度土地が取られたのは始めてのことである。呉王僚は大いに怒って、楚を攻めろ!って公子光に命じた。
公子光は精兵5万人を率いて、子胥と白喜を連れて国境へ向かった。
数日間に胛梁邑を取り戻し、また楚の居巣城を攻め取り、今度呉軍は調子に乗って楚国内に攻め込んだ。
辺境の緊張情報を聞いて、楚平王急いで龍成将軍に八万精兵を渡し、呉軍を撃退するようと命じて、両軍は楚の鐘離城で対陣した。
龍成将軍は十数名副将を連れて、向こうの呉軍を見ると、子胥が長矛を手にし、そばに白喜は立って刀で楚軍を指し、決闘を求めているところ。
龍成は大いに怒って、部下に言った:“その二人は皆楚の反乱者で、罪を持ったまま敵に回した。誰がその二人の首を切り取ってくれる?”
話が終わったばっかり、隣の副将張霊が馬を走って、矛を高く上げて、呉軍に向かった。
白喜は公子光に言った:“この第一陣は俺にやらせてください!”
公子光は:“気をつけろ!”
張霊の矛の技が有名だが、白喜の刀法に負けている。数十回の往復で、白喜は一声怒鳴って、張霊を馬から切り倒した。
楚軍から叫び声が聞こえた:“反乱賊!俺の弟を傷つくな!”
張霊の兄弟張誠は刀を舞って、馬を飛ばし白喜に飛び掛った。
二人は熱闘して、百回あまり往復で、勝負が未決。
子胥はその二人を見て、公子光に言った:“第一陣は大切な戦だ。勝てば兵士の気を高める。僕の弓法を見てごらん!”
大きな弓を引いて、矢が稲妻のように張誠の頭に当たった。白喜はその勢で敵将の首を切り取った
楚軍大乱。
公子光は刀を上げて、周囲の部下に叫んだ:“諸君、進め!”
呉軍兵士らは人も馬も怒鳴って、楚陣に突っ込んだ。
龍成将軍は慌てて、鐘離城に撤退し、城門を閉め、矢で呉軍の進軍を止めた。
点検してみると、楚軍は五千人の死傷者が出て、副将数人が命を失った。
その日、龍成は城を守りながら、楚王に使者を出して戦況を報告して、夜も休まず城の警備を巡査している。
早く鐘離城を攻め落としたい公子光は子胥と白喜を呼んで、これからの作戦を考える。
子胥は策を献上した:“今日の初戦に負けた楚軍はこれから暫らく出陣しないでしょう。鐘離城が頑丈で守りやすく、攻めれば我が軍の兵士が沢山死ぬので、何かの方法で楚軍を誘い出し、城外で消滅すればいいと思います。”
翌日、呉軍は大騒ぎをして、二つ隊に分けた:一隊は兵営に残り、一隊は子胥に従って揚子江の川を沿って、これから昭関を攻めると周辺の住民に噂を出しながら出発した。
すぐ情報が龍成将軍の耳に届いた。龍成将軍は大笑って:“呉軍はあまりにも我が楚を軽蔑しているじゃないか!数万人の軍隊を二つに分けたら、ここに残ったのはわずかだろう。”と言って、副将たちに昼間ちゃんと休んで、今夜城外の呉軍兵営を奇襲しろと命令した。
ある副将は諫言した:“伍子胥が天下有名な人物で、こんな下手な作戦を取るわけには考えられません。もしくは何かの詐欺で我々を騙し、城外に出させるじゃないでしょうか”
龍成は:“今の伍子胥、復讐の念頭で頭に一杯だ。早く楚を潰したくてこんな馬鹿な作戦を作ったじゃないか。”と言って、真っ暗の夜、全動員して呉の兵営を奇襲した。城内には数千人だけ残して守備に当たる。
楚軍は静かに呉軍兵営に向かった。呉軍は勝利に酔っただろうか、兵営の前に警備一人もいなかった。
兵営に突っ込んで、誰もいなかった。これは罠だと悟ったら、周りから呉軍の鉄砲が数十回響き、公子光は馬に乗って、火の光に立って笑った:“お前らは騙されたぞ!早く投降しろ!”と言って、楚軍に矢を放つと命じた。
混乱中、また鉄砲一声が響き、子胥は長い矛を取って、楚軍に攻め込んだ。子胥は軍を率いて、昭関を攻めると偽って、兵営から五里離れた江岸に止まって、楚軍の奇襲を待っていた。
逆奇襲された楚軍は大混乱で、戦う気もなく、逃げるのを夢中にしている。お互いに道を奪うため死傷者がさらに増え続いた。
公子光と伍子胥は楚の敗軍を追いかけ殺し、白喜は一隊兵士を連れて、夜のなかに敗走した楚軍を偽って、城に入って、簡単に鐘離城を攻め取った。
日が明けて、龍成将軍は残兵を集めてみると、数千人しかいなかった。鐘離城が既に呉軍に占領されて、仕方がなく昭関に帰り、援軍を求める文書を作り、楚平王への使者を出した。
こちら子胥は言った:“今のうち、呉国から精兵十万人増やして、居巣城と鐘離城を拠点にし、楚の首都を目指して進軍すればいい機会でしょう。”
しかし公子光は反対した:“呉王の命令によると、奪われた土地を取り戻すだけである。今はすでに楚の城二つまで攻め取って、大勝利を収めた。これ以上軍を動かして国体を揺らしたら呉王に反乱だと疑われて、身の安全も保障できないだろう。完全な勝利を誇りにして、撤退すべきである。”
公子光は半分の兵士を居巣城と鐘離城に残し、軍を率いて呉に帰った。先に使者を遣い、王僚に密告した:
“今は楚を攻める機会ではありません。伍子胥は功を立てたが、呉国のためではありません、自分の父兄の讐を報復したいだけですので、大王様は是非伍子胥の諫言を無視して頂くように。”
首都に戻って、呉王は子胥を呼んで、話を聞いた:“君のために楚を伐したいので、なにか高見があるでしょうか。”
このとき、子胥は公子光の反乱意思をもう大体察知したので、巻き込まれないように、呉王に言った:
“偉大な王様は一人庶民のために出兵し、隣国を攻めるのはいけませんと思います。”
“何で?”
“国王は国家政治に目を向け、意地で動くのではありません。何か急用急難が無ければ軍隊を動かすことはなさいません。今の大王様は国家の最高統制者であり、命令を出したら厳しく執行されますので、私のような平凡な庶民のために戦争を起こしたら道義に合いません。私も大王のご意思を賛成できません。”
伍子胥の話を聞いて、呉王は戦争をあきらめた。
太子勝は従者に守られて無事呉国に到着したため、伍子胥は大いに喜んでいて、公子光に願いした:
“私は父兄が遭難してから今まで一日も休んでないし、せっかく太子勝が来られて、これから一緒に隠居するつもりでございます。公子様にご用があればいつでもよろしい、呼んでください。”
公子光は子胥の意を分かり、告白した:“わしは呉の国王になったら、貴様の復讐に力を貸します。”
子胥は、公子光の野望を知り、呉王を殺害して自立したいと思っているので、いま対外問題を説いても無駄だと悟った。太子建の息子勝と共に、昼は田野で耕作し、夜は武術と兵法を勉強し、時節を待つ。
そのまま三年間も過ぎていた。
公子光は白喜と共謀して、王位を奪いたいが、なかなか機会に恵まれなかった。焦りながら、二人はまだ子胥のところへ相談しに来た。
公子光を手伝わないと、自分の復讐も永遠に実現できないと考えて、子胥は仕方がなく提案した:
“軍隊で反乱を起したら、呉国の政局は把握できなくなり、下手にすると鎮圧されて自らの命も守られないでしょう。王僚を確実に殺さないと、天下の安定が出来ません。”
“どうしたらいいでしょうか。”
“暗殺。”
子胥は呟くように言い出した。みんな沈黙した。
“誰がやればいいですか?”白喜はつい口を開けた。
“私たち三人は常に王僚に警戒されて、やる機会がないでしょう。誰も知らない人なら逆に王僚に接近しやすいと思います。”と子胥が言った。
詳しい計画を決めて、子胥はすぐ従者に頼んで、専諸を楚から呉に呼んでくる。
専諸は子胥のお呼びを聞いて、直ちに家族を程よく配置してから一人で出発した。
数日の旅で、今日は楚の大都会寿春で一晩泊まる。
寿春は楚の軍事、経済の要地で、とても人が賑やかでいる。夕方に専諸は宿の居酒屋で酒を飲んでいる時、奇妙な光景を見ていた:
数人の大男は一つ担架を担いで、担架には女性模様の人が毛布に包まれている。
“どうしたの?”巡回する警備が聞いてきた。
“この子が重い病気にかかって、もうだめだと医者に言われたので、今城外の親の所に運んで行きます。風に当たらないように、毛布で包んでいます。”と、一人が答えた。
専諸はその男たちをじっと見たら、変に思った:一人の女の子だったら、軽いはずなのに、なぜか男たちはよく肩を換えていて、もしかしたら、毛布の中にはなにか重いものを隠しているじゃない?
と思って、専諸はすぐ勘定して、居酒屋から出て、その男たちの後ろについて尾行した。
城から出て、二十里歩いて、日が沈んで、周りは暗くなってきた。
男たちはある村に入って、一つ豪邸の前で止まって、玄関を呼んだら、中からまた二人の男が迎えに出てきた。
“えっ?!通常なら病気の女の子を婦人が出迎えにくるはずじゃ!ここは絶対何かある!”と、専諸は不思議に思った。
専諸は静まりを待ってから、幼いときから練習してきた功夫を使い、密かに豪邸の壁を乗り越えて、部屋の窓の下に隠れた。舌で窓の紙を濡らし、指で小さい穴を開けて中を覗いた:
七人の男が担架を部屋の真ん中に置いて、女の子も立ったまま、みんなに言った:
“本当にいい方法ですね、誰も知らないまま、堂々で財宝をここまでに運んできました。”
男たちもめちゃくちゃ口を出した:
“重かったよ、今肩がしびれていた。”
“県官は本当に金持ちだね、このお金で我々一生の生活にも足りるだろう。”
と言いながら、毛布を開けてみると、輝く金と宝石が現れた。
一人は“これは何だ?”と言って、宝石の中から一本の短剣を取り出した。
“これは宝物だよ!魚腸剣という名である。”と、頭領模様の男が言った。
“二千年前の昔、黄帝は岐龍と戦い、数年立っても勝てなかった。岐龍は堅い鱗を身に負って、普通の兵器では傷つけられない。そのため黄帝の将軍らは力合わせ、指南磁石とこの名剣を作り出した。黄帝は磁石で岐龍の居場所を探し出して、この剣で一発で岐龍を殺してしまった。しかし凱旋した黄帝は船に乗って黄河を渡るとき、大きな魚が飛び出してその短剣を飲み込んで川に沈んだ。だから魚腸剣という名が付けられた。
しかしこの短剣はどんな甲冑でも軽く突き通す力がある。ずっと伝説に残り、誰も見たことがなかった。今日は我々に盗まれてきて、本当に万金より貴重な宝物を手にしたな~!”
みんな万歳と歓呼したが、外に潜んでいる専諸は財宝に無関心で、魚腸剣だけを気に入った。
深夜になって、強盗たちは明日人数分に分けると相談して、その部屋で財宝を囲んで寝た。
専諸は火種を出して、隣の建物に火を付けた。
間もなく火が大きく燃えて、専諸はその部屋の前で大声で叫んだ:“大変~!火事だ!火事だ!”
強盗らは目を覚まし、隣の部屋は火と煙に包まれて、大きな火事が起きている。
強盗たちは慌てて起きて、盆や洗面器などを取って、火を消しに行って、部屋には誰も残っていなかった。
専諸慎重に部屋に入って、短剣を取って、懐中に入れた。外に出る際、真正面から頭領模様の強盗が:“おかしい!先ほどは誰が叫んだの?財宝を盗みたいじゃないの?”と、言いながら専諸にぶつかった。
専諸はすばやく短剣を抜き出して、その人の首を切ったら、手答えよく力も入れずに頭が切り落とされた。
“本当に鋭い宝物だ!”専諸は賛美の声を我慢できなかった。短剣を収めて、再び功夫で壁を飛び越えて、休まず呉に向かった。